
寝る前に日記を書くと眠れる? 研究で分かっている範囲
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布団に入ったのに、頭の中で明日の予定や気がかりなことがぐるぐる回って眠れない。目を閉じるほど考えが冴えてしまう——そんな夜に覚えがある方は多いのではないでしょうか。
寝る前に書くと眠りやすくなる、と一般化できるほど証拠は揃っていません。よく引用されるのは、健康な若年成人57人が睡眠実験室で一晩だけ行った、5分間のやることリストの試験です。感謝、感情の処理、普段の日記は別の研究として見なければなりません。
研究が直接示したのは、一晩の条件間差です。やることリストと感謝を組み合わせる手順や、感情を書く時間を二段階に分ける方法が検証されたわけではありません。
睡眠実験室で行われた一晩の試験
2018年、睡眠研究者のMichael Scullinらベイラー大学のチームが、就寝前の書く行為をポリソムノグラフィ(脳波を用いた睡眠検査の標準手法)で調べた研究を実施しました。この研究はJournal of Experimental Psychology: Generalに掲載されています。
57名の若年成人がEEG装置を装着して一晩過ごし、消灯前の5分間に二つの課題のうち一つを行いました。今後数日間にやるべきことのリストを書くか、すでに終えた活動について書くかです。
やることリストを書いたグループの平均入眠時間は約16分、終えた活動を書いたグループは約25分でした。5分間の課題後に約9分の条件間差が見られましたが、一晩の小規模試験なので、毎晩同じだけ短くなるという意味ではありません。
やることリスト群では、より具体的に書いた人ほど早く眠ったという関連もありました。ただし、これは群内の探索的な分析です。具体性を無作為に割り付けて原因を確かめたわけではありません。
未完了の課題が注意へ残るというツァイガルニク効果は、この結果を説明する候補としてよく挙げられます。ただしScullinの試験は、頭の中の「認知ループ」を直接測ったものではありません。
未完了の目標を並べるだけでなく、どう終えるかについて具体的で本気の計画を立てた条件では、干渉が弱まりました。これはMasicampoとBaumeisterが2011年に報告した実験の結果です。単に外へ保存すれば脳内のループが閉じる、と仕組みまで証明したわけではありません。
具体的な計画は、「もしこの状況になったら、この行動をする」と合図へ結びつける実行意図とも関連します。ただし、目標の達成を調べたGollwitzerとBrandstätterの1997年の研究は、睡眠や覚えておく負担を扱っていません。Scullinの結果と結びつけるのは、検証済みの仕組みではなく一つの解釈です。
感謝と睡眠の研究は別に読む
成人401人を対象に、感謝傾向、就寝前の考え、自己申告の睡眠との関連が調べられました。Woodらが2009年に報告した研究です。感謝日記を割り付けた実験ではないため、書くことで睡眠が改善したという因果は示していません。
就寝前の考えが統計的な媒介要因として示されましたが、観察データの媒介分析です。感謝が就寝前の思考を変え、睡眠をよくするという時間順の仕組みを確定したものではありません。
睡眠に困りごとのある大学生41人を三つの積極的な課題へ割り付けたのが、DigdonとKobleが2011年に報告したパイロット試験です。何もしない対照群がなく、群間で感謝だけが睡眠を改善したという信頼できる差は示されませんでした。
Fredricksonの拡張-形成理論は、肯定的な感情を考える枠組みです。感謝を書くと注意が心配から置き換わって眠れる、という日記固有の仕組みを証明するものではありません。
感謝を書くなら、「頼まれてもいないのに様子を聞いてくれた友人の電話に感謝している」のように、具体的な場面を残す方法はあります。ただし、名詞だけのリストより詳しい文章のほうが入眠に効く、という直接比較はありません。
寝る直前に感情を掘り下げると逆効果になる?
こんな場面を想像してみてください。今日あった嫌な出来事について、消灯前に日記で「なぜあんなことが起きたのか」と分析を始める。書いているうちに怒りや悲しみがざわざわと蘇り、気がつけば頭が冴えてしまっている——。
表現的筆記(expressive writing)の研究では、感情的な経験について書いた直後に苦痛が高くなる試験があります。ただし、睡眠改善を含む健康上の利益が一貫して出るわけでも、直後の苦痛が後の利益へ変わる「処理の代償」だと証明されたわけでもありません。就寝直前に同じ課題を行う効果も、研究ごとに確認が必要です。
実験室での失敗経験のあとに感情調整の方法を操作し、睡眠を測った研究があります。Vandekerckhoveらが2012年に報告したもので、日記を調べた研究ではありません。感情を深く書くと就寝時に必ず睡眠が悪くなるという直接の証拠ではなく、覚醒が高まる可能性を考えるための隣接研究です。
日記を書くことは本当に効果があるのかでも、同じ心配を繰り返す反芻の可能性を扱っています。寝る直前に書いて目が冴えるなら、その反応は時間や内容を変える手がかりになります。ただし、早い時間なら同じ内容が生産的になると直接比較した試験はありません。
心配、注意、睡眠に関する信念などが不眠を維持しうるという枠組みがあります。Allison Harveyが2002年にBehaviour Research and Therapyで発表した不眠症の認知モデルです。日記の時間帯を試した研究ではないため、寝る前の思考が不眠の唯一の原因だとは言えません。
試すなら、一度に一つの条件を変える
ここからは、研究で確立した二段階手順ではなく、自分の反応を見分けやすくするための試し方です。
消灯前の5分間——「降ろす」ための書き方。
今後数日間のやることリストを5分間書きます。Scullinの試験に近い条件ですが、5分が最適だとも、長さ自体に効果があるとも比較されていません。デジタルで書く場合は、画面設定も別の条件になります。
ここへ感謝の項目を加える方法は、Scullinの試験では検証されていません。両方を一度に試すと、どちらが自分の睡眠に関わったかも分かりにくくなります。
この課題の役割は、感情を深く処理することではなく、予定を外部の記録へ移すことです。それで気がかりが減るかは人によります。他に何を書くかを考えたい場合は、日記に何を書けばいいかも参考にしてください。
感情を書くなら、時間を個別に調整する。
Colleen CarneyとKristin Watersは、臨床向けの建設的心配の手順で、就寝の少なくとも2時間前に行うよう案内しています。これは普遍的な時間差を実験で確定した数字ではありません。書くと目が冴える人は早めにし、影響がなければ自分の生活に合う時間を選びます。
心配していることを書くなら、それぞれに可能な次の一歩を添える方法があります。MasicampoとBaumeisterの研究に近いのは、気がかりを並べるだけでなく、具体的で実行する意思のある計画を作る条件です。ただし、就寝前の覚醒や睡眠を測った試験ではありません。
不安が眠りを妨げる大きな要因になっている場合は、日記を書くことが不安に効くのかという記事で、書くことによる感情処理について研究が示すことを取り上げています。
睡眠の問題が続くときは日記だけに頼らない
睡眠と心の健康は関係しますが、日記研究で報告された別々の結果を、睡眠が中心となる一つの仕組みにまとめることはできません。
睡眠の問題と不安・うつ症状は双方向に関連します。ただし、関連があることだけで個人の原因や、日記で循環を断てることまでは分かりません。
Yoo、Walkerらの2007年の実験では、睡眠を奪われた条件でネガティブ刺激への扁桃体反応が大きくなりました。これは睡眠と感情反応を扱う隣接研究であり、就寝前の筆記の効果を示したものではありません。
就寝前の書くことは、睡眠へ影響する多くの要因の一つにすぎません。やることリストの小規模試験と、感謝傾向の観察研究を一つの確立した睡眠メカニズムへまとめることはできない。どちらも臨床的不眠症の治療ではありません。
試すなら、一度に一つだけ変え、数日間の入床時刻、眠るまでの主観的な時間、翌日の眠気を記録すると、自分の傾向を見やすくなります。眠れない状態が続く、日中の機能に影響する、強いいびきや呼吸停止が疑われる場合は、医療者へ相談してください。書く習慣を定着させる方法も、固定の日数ではなく生活に合わせて考えます。
今夜試すなら、まずはScullinの研究に近い形で、今後数日のやることを5分だけ書きます。感謝は別の夜に試し、違いがあるかを見てください。一晩で変化がなくても、方法が無効とも、続ければ必ず効くとも判断できません。